佐藤達夫

扱った植物は、庭で育てたものや、次女のいけ花のおさがりや、東京ちかくの野や丘で採取してきたものなど、ごく身ぢかなものが大部分である。我流の、まったくお恥ずかしい絵だが、すべて実物をお手本にいっしょうけんめいに描いた。へたながらも、草木にたいするわたしの愛情がすこしでも滲みでていたらうれしいと思う。 忙しい公職をもつわたしが、こんなのんきな本を出したりすると、いかにも、本職をおろそかにして、わき道に熱中しているように誤解されそうである。しかし、これは、まったく業余の息ぬきであり、ひとさまがゴルフや麻雀を楽しみ、野球放送などに興じておられる時間をあてての、わたしなりのレクリエーションなのだから、このくらいのあそびは許していただけるだろう。